リミットレス

ハングオーバー』シリーズのブラッドリー・クーパー主演。うだつの上がらない男が偶然街で出会った元義理の弟から譲り受けた薬を飲んだら脳が覚醒してイケイケになる、というストーリー。
この薬というのは「普段20%しか使われていない脳をフル活用させる薬」なのである。この「普段20%しかry」というのは割とよく聞く話でその数字もマチマチでもっと低い数%だったりする。で、もしそれが100%フル活用できたらどうなるのか?というのは夢のある話でわくわくする反面、「常に100%使うと身を滅ぼすよ」という教訓的なところに着地するものだ。本作ではそれが薬物による効果なのでなおさらである。「100%使うのはよくない説」はほんとかどうかは知らないが個人的には何事もあんまり頑張りたくない性格なのでそれは「いい話」なのだが、(結末に触れてます→本作はなんとそれを裏切るかたちで終わる。一種のドラッグモノであるにも関わらず、そのようなラストを迎えるというのには意表を突かれた。BD、DVDともに“別エンディング”が収録されているが、言い回しが違うのみで結果は同じだ。
本作一番の魅力はやはりそのカメラワークだろう。高層マンションの高層部から一気に下まで降りたかと思うとそのまま市街地を車の中を通りながらトラックアップでぐんぐんと突き進む。薬を飲んで覚醒されているときは視界が360度になり、テキパキと仕事をこなすシーンでは『NEXT』のように主人公が分身し、執筆するときには文字が空から降ってくる。主人公の視点ないし脳内を覗いたかのような映像の数々はとても面白かった。ずいぶん若い感覚に感じたが監督のニール・バーガー(マックの新商品のようだ)は48歳だった。
いろんなブラッドリー・クーパーが見れるので彼のファンは必見。それにしてもブラッドリー・クーパーは今回も記憶を飛ばしていた。彼には記憶をなくしやすい俳優としてこれからも記憶をとばしつつ観客の記憶には残る俳優としてこれから頑張ってほしいと思う。……なんだこの締めは。