日本よ、これぞ映画だっ!!『ロボット』完全版

インドのSFアクションコメディ『ロボット』その“完全版”を鑑賞。大傑作。先に公開されていた“カット版”はだいぶ前に観ていてその時点で超がつく面白さ。年間ベスト1はすでに確定していた。そして公開されてだいぶ経つがついに“完全版”を観ることができた。
バシー博士10年の研究の末生み出されたロボット“チッティ”。非常に優秀で人間の命令に忠実ながらも「善悪の区別がない」という欠点を指摘された博士はふとしたことをきっかけに彼に感情を持たせることに成功。しかしその結果ロボットは博士の彼女に恋をしてしまい悪の道に染まっていく。
とにかく楽しい!幸せ!!最高!!!
この映画を「バカ映画」ということは容易い。突如挿入される歌とダンス(しかもロケ地はストーリーになんらカンケーない世界の観光名所)、ロボットと蚊の会話(!)、終盤のアクロバティックなアクション。確かに荒唐無稽だ。だがアレを実現させるのは非常に困難である。だってあんなの思いつかないもん!この映画はアイディアの洪水だ。とめどなく流れ出るそれは時に残酷でショッキング、ときに極上の幸福感をもたらす。そのひらめきに涙する。
そのアイディアを表現するための技術もまた高い。ジャンプカットを駆使したリズムのいい編集。ひたすら観客をアゲにかかるダンスシーンでの映像効果とA.R.ラフマーンの音楽(アクションやドラマパートにおける音楽の使い方も抜群)。ロボットのアクションなどもろもろでのCG。またテンポのいい脚本もその一つだ。自国文化の風刺も効いているし哲学的ですらある。
そして演じるのはインドの大スター、ラジニカーント。ヒロインは超絶美人アイシュワリヤー・ラーイ。この2人の感情表現も見事でチッティが恋に落ちるまさにその瞬間やアイシュの健康的な色気と豊かな表情。これだけでも一見の価値ありだ。
娯楽映画として圧倒的完成度を誇るこの「バカ映画」に注ぎ込まれたのはそんな知恵と技術とスターなのである。
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