アウトレイジ ビヨンド

北野武最新作にして初の続編『アウトレイジ ビヨンド』鑑賞。初日初回を観るほどに楽しみにしていた作品。おもしろかった。が、肩すかしを喰らったなぁという印象もある。それは「バカヤロー!」「コノヤロー!」といった罵り合いが意外と少ない点だ。前作の最大の魅力はそこだった。怒鳴り声から生まれるズバ抜けた娯楽性、快楽性に魅了された。本作も公開前のインタビューや番宣番組から想像されるのはその点を引き継いだものだった故にそのような印象になってしまった。
たとえば関西の花菱会に喧嘩を売りに行くシーン*1、そこでは関西弁VS関東弁の対決になるのだが娯楽性よりも気まずさが上をいく。それは当然狙ってやってるわけだが。
殺す、殺される過程においても割と淡々としていて、主要人物のそれも省略される。シーンとしては描かれていても画面外で起きていたり。演出、編集のバランスは『アウトレイジ』と『ソナチネ』など*2の中間に位置する作品に感じた。
一方、画面作りは非常にすばらしい。予告篇を観てもらえればわかると思うが撮影はもちろんのこと特に照明の具合がよく、影の付き方がとにかくいい。悪い奴ほどよく陰る。影をつくるため(といっていいともう)に顔中しわくちゃにする役者陣の演技も完璧だ。
アウトレイジ』の続編ではあるものの違う作り方がなされたものとして見るのがいいかと。前作のラストが大きく絡んでくるので未見の方は鑑賞後に。

*1:物語の展開上は「お願い」に行く場面なんだけど大友はほとんど初めから喧嘩をしにいってるようにおもう

*2:あくまで初期中期作品群の一例としての『ソナチネ』です。