コンテイジョン

スティーブン・ソダーバーグ監督によるパンデミック映画。全世界に広がった致死性ウイルスによる混乱と群像劇、そして今日的なガジェットが105分の中にギュッと詰め込まれスリリングに描かれる。これまで観た彼の作品*1の中で最もエンターテイメントな作品だ。まるで事実かのように淡々と時系列に沿って箇条書きにしたような構成は人間関係の処理とスピード感のある展開に一役書い、セリフを排したシーンでの音楽は緊張感を持続させていたし、映画全体に漂う神経質な雰囲気もとてもよかった。
出演者はみな主役級なのだがどこか地味だ。特にど頭のグウィネス・パルトロウの不健康っぷりがすごい。ジュード・ロウは1200万人の読者を持つ有名ブロガーで、それはもう「メディア」と呼んでいいものだが、どこかカルト的なところがあり、特徴的な人物を好演していた。

内容が内容だけに今の日本と重なるところもありそれ故にリアルにも感じる(風説の発生など)、一方でリアリティに欠けると言えなくもない(過剰な暴動)のだが、映画的リアリティは備わっていたと思う。
またラストにあの日を持ってくるのは、現実に起きたときがそうであるからで、決してただのオチではないうまい構成である。