ツレがうつになりまして。

宮崎あおいファンとして、うつ病経験者として『ツレがうつになりまして。』を観た。とてもよかった。おすすめです。
仕事などのストレスにより突然うつ病になってしまったツレ(堺雅人)と彼を支える妻ハルさん*1宮崎あおい)の闘病記&のろけ話。原作未読。
うつ病はいまや誰もがその存在を知り、そして誰もがかかる心の病として認知されている(と思う)が、その病状まではまだまだなところもあろうし、同時にずいぶん重く見られがちのように思う。本作が素晴らしいのはその重さ、つまりは死につながることも描きつつ全体はほのぼのとして随所に笑いが散りばめられている点である。コミカルとシリアスのバランスがとてもいい。それを体現した主演の2人は文句の付けようがないし、またハルさんがつける絵日記のあのイラストも非常に効果的だった。
うつ病はそれになった原因がわかったとしても、それは解消しがたい問題である場合が多いのが難しいところだ。例えば仕事のストレスが原因だったとしても、たいていの人は仕事をそう簡単にやめることなんてできないし、人間関係に問題があったとしても、その整理だって大変だ。ツレは運良く仕事をやめられる環境にあったものの、人間関係に問題を抱えるうつ仲間の彼はおそらく今後も病院に通い続けることになるのだろう。またうつはぶり返すものなので、完治することはない。その辺りも「心の風邪」といわれる所以だろうか。ただ一度かかってしまえば対処法もわかるだろう。端的にいえば、病院行って薬飲んで休む。
劇中、仕事をやめたツレは「昼間からゴロゴロするなんて世間様に申し分けない。」といい休むことに抵抗を感じるのだが、ここは逆説的でとてもおもしろいしよくわかっているなと思った。こういう人こそがうつ病にかかりやすいとされる人であり、休息が必要な人なのである。そしてそんなツレに怠け方を教えるハルさんの怠けへの全肯定っぷりもすがすがしい。みんなもっと怠けていいのである。
10/21(金)には舞台挨拶もやるようで明日19日(水)の朝10時からチケット発売だそうです。この機会に是非!

*1:神様のカルテ』と同じ役名!