スーパー8

直接なネタバレはありませんが、いくつかの関係ありそうな作品タイトルを挙げています。



『E.T.』で一番好きなシーンは終盤のE.T.を自転車に乗せて大人たちから逃げるトコです。もちろんこのシーンは映画的にもハイライトなわけでして、あのシーンは非常に楽しくワクワクさせられるところで僕以外にも好きな人は多いと思います。これは物語上、演出上の素晴らしさもさることながら個人的な経験にも基づいていると思います。今でこそ車やバイクなどに頼りがちですが昔は自転車でどこへでも行っていました。漕ぐのが、友達と走り回るのが楽しかったんですね。当時はものすごく遠くまで行っていたつもりでしたが、大人になってからほんの駅3つ分だったことがわかったときのなんともいえないおかしさは今も覚えています。そういった子供時代の思い出を元にして作られたのが本作『スーパー8』です。監督のJJエイブラムスは映画.comのインタビューでこのように答えています。

「僕は、アンブリン作品、スティーブンの作品、ジョン・カーペンターデビッド・クローネンバーグの作品に影響を受けているけれど、その当時を連想させるような、僕の子ども時代へもう一度戻ってみたかっただけなのさ。『SUPER 8 スーパーエイト』は、個人的で自伝的なストーリーで出発したプロジェクトだったけれど、最終的には僕が夢中になっていた映画にオマージュを捧げ、感謝の気持ちを表したことになったと思うよ。」

物語は1979年のオハイオが舞台。不慮の事故で母親を亡くしたジョーはその悲しみから抜け出せずにいた。その4ヵ月後、友達と映画を撮影中に列車事故*1を目撃する。列車の中では何かが暴れており、その事故の引き金となった教師は彼らに「このことは誰にも話すな」と言う。それ以降町では不可解なことが次々と起こり、軍が町に入り込み何かの調査を開始する。
エイブラムス&スピルバーグが作り上げた本作『スーパー8』は映画愛に満ちたノスタルジックでなんともかわいらしい物語でした。
画面からはその当時の雰囲気がビシバシと感じられます。舞台となるオハイオスピルバーグの出身地でもあり、79年の夏という時代設定は『未知との遭遇』『ハロウィン』『ゾンビ』などが公開されたあとで、またエイブラムス自身の年齢ともリンクするからでしょう。さらに劇中でも少しばかり触れられますが、79年はスリーマイル島での原発事故*2があった年でもあり、今の日本にとってはちょっとばかしナイーブな設定といえます。
本作は各所で「○○っぽい!」と言われ、その中のいくつかは先述した作品群の中にもあるのですがあまり言われていないところだと『エヴァ』っぽいなーとも思いました。で調べてみたら映画評論家の町山さんも触れていたり。
Twitter. It's what's happening.←ちょっとネタバレありです!
またやはり字幕で観る方が多いかと思いますが、吹き替えもオススメです。特にジョーと チャールズのアリスについてのこっぱずかしいいざこざは字幕を観るよりも耳で聞くほうがニヤニヤできます。
とにかく必見の一本です。

*1:列車の脱線事故は79年のオハイオで実際にあった

*2:先述した脱線した列車で運ばれていたのはこの事故でできた放射性物質との噂もあったらしい。