スコット・ピルグリム VS . 邪悪な元カレ軍団

『エンジェル・ウォーズ』に並ぶダサ邦題がつけられた本作は、そのタイトルのセンスのなさだけではなく、監督の好きなものを詰め込んだ点やまるでミッションをこなしていくような内容がとても似通っている。また『エンジェル・ウォーズ』のザック・スナイダーも本作のエドガー・ライトもオリジナル脚本と原作ありきという違いはあれど、日本のポップ・カルチャーからの影響が映画に反映されているという点も同じだ。共通点は多い。『エンジェル・ウォーズ』がツボった自分にはこれもハマるはずなのだが…。
ストーリーはいたって単純。一目ぼれした女の子と付き合うためにはその子の元彼7人を(なぜか)倒さなければならず、それに奮闘するというもの。
テンポよく進み、破天荒な設定、物語ではあるもののコミック調、ゲーム調な画面効果に彩られたそれとの相性もよく、前半はとても楽しく見た。オープニングのユニバーサルのロゴがゲーム風でオカシくて笑える。突如始まるバトルでは何十コンボを決めてみたりと派手な戦いが繰り広げられる。だがしかし…。いかんせん7人だ。次々に現れる元彼はみな個性的だし、その倒し方もそれぞれあるのだが…。どうにも途中で飽きてしまったんだなぁー。途中結構テキトーに倒してる敵もいてさ、「あれ、コイツ扱い雑だなー」なんて思いながら見ていたわけです。スケボーで自爆とか能筋すぎんだろっ!するともうちょっと人数削って1人1人をじっくり描いたほうが個人的には好きになったかなと。そうするとなんで7人もいたのっかてことで。それはたぶん、この映画は格ゲーのアーケードモード、つまりは1人プレイでの勝ち抜き戦みたいなもんなんだろうというとこに落ち着いたのである。これは大体(あんまやらないのでテキトーだが)7人ぐらいを勝ち抜くと全クリで、ゲーセンにでも行ってもらえばわかると思うがプレイ中の台の周りには観衆がいたりする。そこではコンボを決めていかにうまいかも競われていたりするのでそれに近い感覚なのかなと思ったのだ。あと、あれだけ画面効果があるのだからバトルシーンではライフゲージがあってもいいんじゃないかとも思った。格ゲーにおける「次攻撃食らったら死ぬ」ってときの緊張感、それを乗り越えて逆転勝利したときの達成感とかも使えたんじゃないかと思うわけです。
また、主人公のスコットが、これが結構女にいい加減なヤツで感情移入できないってのがあったと思う。はっきり言っちゃえば付き合えようが付き合えまいがどーでもよくて、そうするといかに画面がポップでも興味が持続されなくなってしまった。
笑いもいたるところに散りばめられているのだが、いわゆる“てんどん”もちょっとしつこく感じてしまい、とどのつまり僕には合わなかったのである。