フォロウィング

クリストファー・ノーランのデビュー作。クリストファー・ノーランといえば『ダークナイト』という超傑作があり、もうすぐ公開される『インセプション』は否が応でも期待されるわけで、オレ自身映画館で予告を観るたびに早くみせろと思っている。でその『ダークナイト』以前であれば『メメント』が代表作としてあげられるわけだが、今回のこの『フォロウィング』は『メメント』の原点であり、また‘偶然の因果’を感じさせるものだった。
メメント』といえばあの巧妙な時系列のいじりが特徴だが、本作も同様に時系列をいじって、70分という短さのうちのそのほとんどが過去へ未来へひっきりなしに前後して観るものを翻弄し、ラストで全てが明かされるという構成になっている。
本作は低予算かつ「フィルム・ノワール」を意識したとのことでモノクロで、ざらついたフィルムの質感がいい雰囲気を醸し出しさらに、本作のマジックを解けにくくさせている。DVDには特典映像として「クロノロジカル・シークエンス」という、要は「正しい時系列」版が収められている。これは『メメント』にもあった。それを見て思うのは「正しい時系列だと平凡だな」ということ。いじり前提のため当然シーンとシーンの繋がりも悪く、ぶつぎり状態だ。しかしそれ以上に感じるのは編集のおもしろさ。
そして時系列いじりというと、やはり思い浮かぶのがタランティーノだ。当然、影響も受けてるし意識もしているだろう。タイトルもタイトルなので「タランティーノフォロウィング」なんてつまんないことまで思いついちゃったりする。
そしてもう一つの‘偶然の因果’。これは、あるシーンでなんとバットマンのシンボルが映るのである。これが公開されたのは1998年でしかもデビュー作であることを考えると、これはキャラクターの人物描写の一つに留まるわけで予告ではないだろう。しかしその後にバットマンシリーズを手掛けることになるため、今観るとまるで予言してかのようである。もしかするとクリストファー・ノーランは現実の時系列までもいじれるのかもしれない。んなわけないか……。