運命じゃない人/俺たちに明日はないッス

運命じゃない人
内田けんじ監督デビュー作。評判が良いので前々から観たいと思っていた。この次の作品「アフタースクール」を先に見ており、これがとても良かったので否が応でも期待は高まる。
本作と「アフタースクール」は設定も構成も似ている。時間軸をバラし、ストーリーが進むにつれ、それがスルスルと紐解けていく。また探偵が出てくるのもこの監督の特徴だ。初監督作の「WEEKEND BLUES]もこんな感じなのだろうか?
決して派手な作品ではないが、脚本で魅せてくれる。脚本は本当によくできていて、細かいところまでよく練られている。一度観ただけでは気づかないようなところもあり、ミステリーとしてのオチがわかっていても二度、三度と観て楽しめる。
またコミカルな雰囲気も小気味良い。爆笑ではなくクスッと笑えるような小ネタ、セリフが散りばめられている。そしてそれをうまく表現しているのが出演者たちだ。はっきり言えば決して有名ではないだろう彼ら。しかしその演技は自然でキャラクターをよく表現している。
内田けんじ監督の今後の作品にも大いに期待!!



俺たちに明日はないッス
アメリカン・ニューシネマを代表する映画の一つ「俺たちに明日はない」をパロったタイトル。しかしもちろん主人公はギャングではない。主人公は性春真っ盛りな高校生たちだ。
タナダユキ監督は女性だが男(童貞)心をよく理解していると思う。童貞故の好奇心や理想といったものを丁寧に描いている。そしてもちろん女心もよく観察されている。間違った性の知識を持った娘の恥じらいや好奇心。達観したものの見方をする娘。フェチに走る娘などなど。
皆いいキャラだが中でも「安パイ」こと「安藤君」がいい味を出している。デブで童貞な安パイ。ある日、一時の幸せを手にするわけだが、それは彼にとって本当の愛ではなかった。そのとき安パイはこう言う。
「僕の体が目当てだったんでしょ」
それを男のお前が言うのかよ!純粋だな!
と、いろいろなおかしく切ない童貞心が楽しめる映画です。