LOOPER/ルーパー

話題の『LOOPER/ルーパー』を鑑賞。タイムマシンが開発された未来から転送されてくる人物を殺すのを生業とする通称「ルーパー」が未来の自分と対決する、というストーリー。
おもしろかったです。割と大々的に宣伝され、公開規模も大きいようですがビデオスルーの可能性もあった気がします。要するに割と地味なんですね。褒めてますよ。制作会社の社名の出方からあの一発までで掴みはオッケーだったと思います。
設定がややこしいので世界観の説明に冗長になりがちなところをタイトな編集と乾いた撮影、懐中時計の音でスタイリッシュに仕上げていていいなと思いました。これに加えて主人公の甘いルックスと内面のギャップ、暴力描写、西部劇を型にしている点などからは昨年の作品『ドライヴ』を思い起こしました。
『ドライヴ』も『LOOPER/ルーパー』も主人公がこういう内面ならもっと無骨な人の方がはまりそうですが、あえて細い印象のあるライアン・ゴズリングやジョゼフ・ゴードン=レヴィットを使うところに映画のルックの決め手があったように思います。
監督・脚本を担当したライアン・ジョンソンはタイムトラベルを題材にしていはいるものどうやらそこにはあまり興味がないようです。劇中でもはっきりと「メンドクサイ!」と言っていますし。その割にはループの件を丁寧にやっているんですが…。どうしてもタイムパラドックスにおけるツッコミどころは出てきてしまうわけですが、そういう方向性なのでその辺はまぁいいんじゃないでしょうか。タイムパラドックス以外でもツッコミどころはありますが、おそらく撮りたい画が先にあったのでしょう。中盤ないがしろにされるあの能力なんかを鑑みても撮りたい画に合わせて設定を合わせていったように感じました。
それにしても子役のピアース・ギャニオンくんは素晴らしかった。恐ろしかった。本作で最高の演技をみせているのは間違いなく彼です。そもそもあまりかわいくないというのもポイントですね。
一番気になったのはバイクのデザインですね。いまだに未来のバイク=浮くってのはどうかと思います。ある種夢ではあるんですけど既視感がありすぎました。
ラストのあの選択についてはかなり暗い判断だと思います。