センチュリオン

『ディセント』『ドゥームズデイ』のニール・マーシャル監督作品。レンタルしてるのは“TSUTAYAだけ”!パッケージには「『300』に挑む」と書かれているが、もちろんそんな映画なわけはない。
紀元117年、領土拡大中であったローマ帝国ブリテン島北部のピクト人に手間取っていた。そこで精鋭部隊である“第9軍団”を派遣したところピクト人の奇襲により軍は壊滅。生き残った数名は拉致されたリーダーを救いに敵の本拠地へ向かう。リーダーは見つけたものの敵に見つかり救出はあえなく失敗。彼らは追っ手から逃れ故郷を目指すのだが、敵には“悪魔”と称される女兵士がおり…。というお話。
この“第9軍団”は精鋭部隊ということなのだが、それがイマイチ感じられないのがまず問題だ。登場してまもなくピクト人による奇襲であっさりやられてしまう。山から落ちてくる火の玉を真っ向から防ぐだなんてあまりにも無謀だ。このリーダーへの部下からの信頼は篤いのだが、なぜそんな指示を出すリーダーを部下たちは慕っているのか。威勢こそいいもののそこまで屈強な戦士には見えない。傷だらけの体のまま敵地の真ん中で“悪魔”を挑発するただのバカなのだ。
また逃走、追跡という形であるにも関わらず、見つかる見つからないのスリルが全くない。敵は悪魔の勘や本能に頼り切った追跡で、しかもそれが遠距離にいるときは凄まじく鋭いのに床下に主人公らが隠れているときにはとんと鈍くなってしまう。彼女の勘や本能は「遠視」だったのだろう、といいように解釈するのはどうにも苦しい。
その点、アクションシーンは冒頭の股間ぶっ刺しに始まり切り株描写満載で、槍が体を貫通したり手足、首が飛ぶのは当たり前。顔面をサクッと切ったかと思うと斧を何度も首に振り下ろす。俯瞰でもキチンと血しぶきを見せる。
歴史モノとしてみたときの時代考証うんぬんは正直よくわからないのだが、ただそもそもこの“第9軍団”というのは歴史上では消失した軍団らしく、監督なりにその顛末を描いてみたかったということらしい。そういうこともあり特にラストはかなりキレイにまとめたなーという印象。